柴胡の成分であるサイコサポニン-d は、マクロファージ分極を調節することにより、橋本甲状腺炎を軽減します。

柴胡成分であるサイコサポニン-d は、マクロファージ分極を調節することにより、橋本甲状腺炎を軽減します。

 

なかなか面白い文献を見つけましたのでご紹介します。

現在和多志は、リウマチ、膠原病、橋本病などの自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎は肝臓の解毒能力が低下していることが原因で起こっている疾病であると仮説をたてて、肝臓解毒能力向上する処方を考案しました。

この文献はその仮説を裏付けるものと思います。

 

 

Journal of immunology research. 2022;2022;7455494. pii: 7455494.

橋本甲状腺炎(Hashimoto’s Thyroiditis: HT)は、臨床的に最も一般的な自己免疫疾患の一つである。最近の研究では、HTの病態はマクロファージの極性化と関連していることが判明している。サイコサポニン-d(SSd)は漢方薬のブプレウルムの有効成分で、抗炎症作用と免疫調節作用がある。本研究の目的は、SSdのHTに対する治療効果を検証すること、およびSSdのHTにおけるマクロファージ分極の調節効果を検討することである。

方法: ネットワークファーマコロジー解析により、SSdのHT治療における関連ターゲットとシグナル伝達経路を予測した。HTモデルマウスに対するSSdの治療効果およびマクロファージ分極への影響を動物実験により検出した。

結果 : ネットワーク薬理学的解析により、SSdはIL-6やIL-10などの複数の標的に対してHTを緩和することができ、MAPKやJAK-STATシグナル伝達経路などのマクロファージ分極関連シグナル伝達経路に作用できることが示されました。動物実験では、SSdの介入によりHTマウスの甲状腺組織におけるリンパ球浸潤が減少したこと(P = 0.044)、SSdの介入によりHTマウスの血清TPOAb抗体レベルが低下したこと(P < 0.001)、SSdはM1.1抗体レベルを調整したこと(P < 0.001)が示された。 SSdは、HTマウスの甲状腺におけるTh1型サイトカインIFN-γおよびTh17型サイトカインIL-17の発現を全身および局所的に抑制した(P<0.05)。

結論 : SSd投与は、M2マクロファージの極性を促進することにより、Th1/Th2およびTh17/Tregのアンバランスを調整し、マウスのHTの重症度を軽減することが可能である。