日本皮膚免疫アレルギー学会参加
日本皮膚免疫アレルギー学会参加
この学会に参加したくなったのは、アトピー処方を開発した際、肝機能の低下とアトピーがリンクしている可能性があり、肝機能を向上させる処方にしてモニターしていました。しかしお子さんには効果がなかったので、皮膚の異常は肝機能以外からの影響もあるのだろうと思い参加しました。 参加費用は3万円とちょっと高めです。懇親会込みです。
3日間フルに参加してみての感想ですが、抗体薬のオンパレードだろうなと思いつつ結構臨床の話が多くて大変勉強になりました。
また内科、膠原病科、血管内科などのさまざまな科から皮膚科に来るケースがあり、色々な疾患がもとで皮膚へ影響を及ぼすのだなあと思いました。腎臓学会に行ったときのような要素還元主義にはまっていることはなく、さまざまな科の先生が参加してる印象があります。
一番驚いたのは便移転植法(FMT)と呼ばれる療法をさらっという先生がいたことです。
この療法は健康な方の大便を患者の大腸に入れるという療法で、欧米では普通にやっているそうです。日本では保健医療対象外ですのでこの療法は行われておりません。
日本ではこういったことをいうと、じゃあどの菌なんだろうかとさぐり、ある特定の菌を同定し〇〇菌がアトピーに効くなんてなっていきます。
しかしこの便移転植法はあくまでも腸内フローラの移植なんです。特定の菌ではないのです。
この発表にて腸内環境と皮膚への関連は間違いないと確信を持ちました。 確かに便秘になると肌が荒れてくるというのは昔から言われていましたから、そうなんでしょう。
それと「補体」というたんぱく質も初めて聞きました。 補体というのは肝臓でつくっていて細菌を排除することができるそうです。
肝機能が低下して低補体となると細菌を排除できず感染症を起こしやすくなります。
この補体というのは免疫グロブリンの働きを補助することがわかっています。 そりゃ免疫グロブリンとかかわりがあれば感染症に影響がでるでしょう。
好中球細胞外トラップ(NETs)
これも初めて聞きました。 好中球は処理できない大量な細菌やウイルスが体内へ入ってきた場合、投げ網のようなトラップを出して殺菌するそうです。この好中球細胞外トラップが2004年に発見された現象だそうです。
人体には本当にすごい機能があり、知らずにすごいことをしているんですね。
ガレクチン10
これも初耳。アレルギー性疾患や自己免疫疾患の新らな治療標的として期待されているようです。2024年に同定されて、今後喘息のマーカーとして利用されていくようです。 慢性炎症のヒントになりますね。
アルドラーゼ
この酵素も初耳 肝臓と筋肉の健康状態がわかる酵素 嫌気性解糖系酵素 全身性強皮症 自己免疫疾患の指標で利用されているそう。
とはいえ、抗体薬の報告は多く、デピュルマグの副作用で充血した目の場合はタクスリムス点眼が必要だが、そこまで考えて点眼薬を処方する眼科医はいないから共有する必要があるという意見があった。
ここにきているドクターは治療ということに真剣に考えているなあと体感した。 学会にくるようなドクターだからそうでしょうけど。
菌関係の話も実におもろしい話があった。
乳酸菌のKB131がIL4,IL12,IL6を動かしているという報告があった。 確実に免疫と腸環境は関連ありますよね。
體のフローラは皮膚、口腔内、腸内とありますが、子宮は無菌と言われてたが、どうもそうではなくて、子宮フローラがあることが分かったそうです。
妊娠を機にベーチェット病を発症する場合があるが、Th17が動いているとのこと。
(Th17:炎症反応の調節 細菌・真菌感染の防御 自己免疫疾患との関連)
強皮症も治療方法があまりないが、コラーゲン繊維と石灰化があるそうだ。 まあそうだろうなあ。
自己免疫疾患、NXPー2抗体とか難しいこと言っているが、抗原抗体反応だろうな。
全身性強皮症は喫煙者に起こる血管炎、局所性強皮症、肺非結核性抗酸菌症は体温のことは何も言っていないが、低体温症をおこしているのかと推察した。
あと1つそんな療法があったのかというのはUVB線を照射する療法。 アトピー、乾癬などで保険適用となっているそうだ。 週1の療法は必要だそうだ。
この話から最近の子供は日に当たっていないかもしれないですね。 日光はビタミンDの生成だけではないのかと。
あとは以前から言っていた體から出るごみについてこれじゃないかと思える報告があった。
それは抗リン脂質抗体症候群という疾病。 この疾病は血液が固まりやすくなり、動脈塞栓、静脈塞栓を繰り返す。脳梗塞の原因にもなる。 心臓弁膜症、皮疹、血小板症、腎障害、神経症状がでるそうだ。
リン脂質は細胞膜が供給源なのでリン脂質の代謝がうまくいかず抗リン脂質になりごみ化して抗原抗体反応を起こしているのではないかと。 これで若い人の脳梗塞とか起こるのは不思議だったが、これで説明できるのでしょう。
今回の参加で、腸内フローラがアトピーなどの皮膚炎に影響していること。 これには乳酸菌など腸内フローラを整えることが必要。
あとは日光浴をすること。病院に行って紫外線療法を受けるまでもない。
以上の2点が小児のアトピーに必要なことだと判明した。
今回も大変勉強になった。 今度は自己免疫、免疫不全学会に参加予定。