好中球細胞外トラップとは
好中球細胞外トラップとは
和多志たちの體にはさまざまな免疫機能がありますが、好中球には増えすぎた細菌などを一撃にやっつけるため、1つ1つ貪食は間に合わない場合投げ網のような一括捕獲をするそうです。 すごいですね 好中球ちゃん! いつもありがとう!
以下好中球細胞外トラップの解説です。
好中球細胞外トラップ(NETs)は、好中球(白血球の一種)が感染や炎症に応答して放出する網状構造物です。NETsはDNAやヒストン、好中球由来の酵素(エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼなど)で構成され、病原体を捕捉・無力化し、感染防御に寄与します。
好中球細胞外トラップが形成される状況
NETsは以下のような状況で形成されます:
-
感染症
- 細菌(グラム陽性・陰性菌)、ウイルス、真菌、寄生虫などへの感染時。
- 病原体が好中球を刺激し、NETsが放出されます。
-
炎症性疾患
- 全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチなどの自己免疫疾患。
- NETsが過剰に形成されることで組織損傷が進行する場合があります。
-
血栓形成
- 深部静脈血栓症や動脈血栓症などの血管疾患。
- NETsが血小板や凝固因子と相互作用して血栓を形成します。
-
腫瘍環境
- 一部のがんではNETsが腫瘍の増殖や転移を助長することが示唆されています。
-
外傷・外因性刺激
- 外傷や異物(たとえば、シリカ粒子やデバイス)によって誘導される場合。
NETsの形成メカニズム
-
刺激の受容
病原体(LPS、ペプチドグリカンなど)やサイトカイン(IL-8、TNF-αなど)が好中球の受容体に結合。 -
細胞内シグナル伝達
活性化された好中球は、NADPHオキシダーゼなどの酵素系を活性化し、活性酸素種(ROS)を産生。 -
クロマチンの脱凝縮
ヒストン修飾やDNA修飾を介して、核内クロマチンが広がる。 -
細胞外への放出
脱凝縮したクロマチンと酵素(エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼなど)が細胞膜を破り、細胞外に放出される。
好中球細胞外トラップの働き
-
病原体の捕捉と無力化
- NETsは病原体を捕捉し、その増殖を抑える。
- NETsに含まれる抗菌酵素が病原体を直接攻撃。
-
炎症の制御
- NETsがサイトカインやケモカインの局所濃度を調整する。
-
血栓形成の促進
- NETsが血小板や凝固因子を活性化し、血栓を形成。
-
免疫調節
- NETsが自己免疫応答や免疫寛容に関与。
過剰なNETs形成の弊害
NETsは感染防御に重要ですが、過剰形成や不適切な分解は以下のような病態を引き起こします:
-
自己免疫疾患の悪化
- SLEではNETsに含まれるDNAやヒストンが自己抗原となり、免疫系が過剰反応。
-
血管損傷・血栓形成
- NETsが内皮細胞や血管壁を傷害し、血栓症を助長。
-
慢性炎症の促進
- NETsが組織の線維化や炎症性疾患の持続に寄与。
NETsを調節する治療法
-
DNase酵素
NETsを分解し、過剰な炎症や血栓形成を抑える治療。 -
抗酸化療法
活性酸素種の産生を抑えることで、NETsの過剰形成を防ぐ。 -
抗炎症薬
サイトカインやケモカインの作用を阻害し、NETs形成を間接的に抑制。