ワーファリン長期投与の重大な副作用
ワーファリン長期投与の重大な副作用
ワーファリン長期投与により血管の石灰化がおこります。
ワーファリン(Warfarin)の長期服用が血管の石灰化を引き起こす理由は、主にビタミンK依存性タンパク質の機能低下によるものです。ワーファリンは、血液を固まりにくくする抗凝固薬として広く使用されていますが、その作用メカニズムが血管の健康にも影響を及ぼします。
ワーファリンの作用機序とビタミンKとの関係
1. ワーファリンの基本作用
ワーファリンは、肝臓でビタミンKを活性化する酵素(ビタミンKエポキシド還元酵素)を阻害します。この酵素の阻害により、ビタミンK依存性の凝固因子(プロトロンビンなど)の生成が抑えられ、血液が固まりにくくなります。
2. ビタミンK依存性タンパク質の役割
ビタミンKは、血液凝固因子だけでなく、以下のビタミンK依存性タンパク質を活性化するのにも重要です:
- マトリックスGlaタンパク質(MGP): 血管壁や軟組織でカルシウムの沈着を防ぐ。
- オステオカルシン: 骨にカルシウムを取り込む役割を担う。
3. ワーファリンの影響
ワーファリンがビタミンKの活性化を阻害すると、MGPが活性化されなくなり、その結果として以下が起こります:
- 血管の石灰化: MGPは本来、血管壁でのカルシウム沈着を抑制しますが、活性化が阻害されると、カルシウムが血管壁に沈着しやすくなります。
- 骨密度の低下: オステオカルシンの活性化も低下するため、カルシウムが骨に適切に取り込まれず、骨粗しょう症のリスクが高まります。
ワーファリンによる血管石灰化のメカニズム
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ビタミンK依存性タンパク質の不活性化
- 活性化されないMGPは、カルシウムとリン酸の結晶化を防ぐ力が弱まります。その結果、カルシウムが血管壁(特に動脈壁)に蓄積し、動脈硬化や石灰化が進行します。
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慢性的な石灰化プロセス
- ワーファリンの長期使用により、石灰化が徐々に進行します。特に、高齢者や腎臓病を抱える患者でこの影響が顕著です。
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炎症との関連
- 血管壁での石灰化は炎症を伴うことが多く、慢性的な炎症がさらに石灰化を促進します。
全身の血管が石灰化を起こすと以下のような症状がおこります、
1. 心血管系への影響
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動脈硬化の進行
- 血管が硬化して弾力を失うため、心臓に負担がかかります。
- 症状:
- 高血圧: 血管の弾力性が低下し、血流を維持するため血圧が上昇。
- 胸痛(狭心症): 冠動脈が石灰化すると、心臓への血流が不足し、胸痛や息切れを引き起こします。
- 心筋梗塞: 冠動脈の石灰化が重度になると、血流が途絶え、心筋が壊死します。
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心不全のリスク増加
- 石灰化した大動脈弁が狭窄を引き起こし、心臓が血液を送り出すのに過剰な労力が必要になります。
2. 脳への影響
- 脳血管の石灰化
- 脳の血管が石灰化すると、血流が低下し、酸素や栄養が脳に十分届かなくなります。
- 症状:
- 認知機能の低下: 血流不足による脳の損傷が原因。
- 脳卒中(脳梗塞): 血管が完全に詰まり、脳の一部が壊死します。
- めまい・ふらつき: 血流の不安定化により起こる。
3. 腎臓への影響
- 腎動脈の石灰化
- 腎臓に血液を供給する動脈が硬化すると、腎機能が低下します。
- 症状:
- 腎不全: 尿を適切に排出できなくなる。
- むくみ: 塩分と水分の排出が不十分になるため。
- 高血圧: 腎臓の血流低下によりホルモン(レニン)が過剰分泌される。
4. 四肢(手足)の影響
- 末梢動脈の石灰化
- 足や腕の血管が石灰化し、血流が制限されることで症状が現れます。
- 症状:
- 間欠性跛行(かんけつせいはこう): 歩行中に足が痛み、休むと改善する。
- 手足の冷感やしびれ: 血流不足により感覚が鈍くなる。
- 潰瘍や壊死: 血流が極端に低下し、組織が壊死することがあります。
5. 消化器系への影響
- 腸間膜動脈の石灰化
- 消化器系への血流が不足すると、消化不良や腸管の壊死が起こる可能性があります。
- 症状:
- 腹痛: 特に食後に腹部の痛みが現れる。
- 体重減少: 栄養吸収が不十分になる。
6. 全身的な影響
- 全身性の虚血症状
- 血液供給の不足が全身の組織に影響を及ぼします。
- 症状:
- 疲労感: 酸素供給が不足し、全身のエネルギーが低下。
- 皮膚の変色: 血流が不十分で皮膚が青白くなる。
- 免疫機能の低下: 血液循環が悪化すると、感染症に対する抵抗力が弱くなります。
対策としてはビタミンK2の摂取があげられます。
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