肺サーファクタント
肺サーファクタント
肺表面活性物質と説明されてます。 この物質は各3億個あるとされる肺胞にあります。
表面活性物質というとややこしいですが、ようは界面活性剤、つまりせっけんです。以下より詳しく説明します
肺サーファクタントとは、肺の中の肺胞(はいほう)という小さな空気の袋の内側に分泌される脂質とタンパク質からなる物質です。主にⅡ型肺胞上皮細胞によって産生されます。
主な働き:
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肺胞表面張力の低下
→ 肺胞内には空気と液体の界面があり、ここには「表面張力」が働いて肺胞が潰れやすくなります。サーファクタントはこの表面張力を低下させ、肺胞が潰れるのを防ぎます。 -
呼吸の労力を軽減
→ 肺胞を開いたまま保つことで、呼吸を効率よく、少ない力でできるようにします。 -
肺胞の安定化
→ サーファクタントにより大きさの異なる肺胞の安定性を保ち、ガス交換効率を向上させます。
肺サーファクタント異常で起こる病気とその原因
① 新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)
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原因:未熟児(特に在胎週数34週未満)では、肺サーファクタントの産生が不十分なため
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病態:肺胞が開かず、ガス交換ができなくなり、呼吸困難や低酸素状態になります
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治療:
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人工サーファクタントの投与
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呼吸補助(CPAP、人工呼吸器など)
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② 成人呼吸窮迫症候群(ARDS)
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原因:敗血症、重症肺炎、外傷、吸引などの重症状態により、肺胞に炎症・損傷が起こる
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病態:肺サーファクタントの破壊や減少により肺胞が潰れ、重篤な低酸素血症を引き起こす
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治療:
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原因疾患の治療
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呼吸管理(人工呼吸器、高濃度酸素など)
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必要に応じてサーファクタント補充
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③ 先天性肺サーファクタント異常症
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原因:サーファクタント関連タンパク質(SP-B、SP-C など)や ABCA3 遺伝子の遺伝的異常
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病態:新生児期から呼吸困難が現れ、進行性の間質性肺疾患をきたす
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治療:
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対症療法
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重症例では肺移植が必要になることもあります
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また肺サーファクタントと免疫機能には関連があります。
肺サーファクタントは単に物理的な役割(表面張力の低下)だけでなく、肺の免疫防御にも重要な役割を果たしています。
肺サーファクタントと免疫機能の関連性
1. サーファクタント関連タンパク質(SP-A、SP-D)は免疫に関与
SP-A、SP-D は**コレクチン(collectin)**という免疫関連タンパク質に属し、以下のような免疫機能があります:
病原体(細菌・ウイルス)を認識・中和
マクロファージによる貪食促進
炎症反応の調節(過剰な炎症を抑制)
2. サーファクタント異常 → 感染症や炎症に弱くなる
サーファクタントが減少・変性すると:
病原体の排除能力が低下
肺胞マクロファージの機能不全
慢性的な肺炎や肺線維症のリスク増加
関連疾患での免疫機能との関係
◉ ARDS(成人呼吸窮迫症候群)
強い炎症(サイトカインストームなど)でサーファクタントが破壊され、
→ 免疫とサーファクタントの相互悪循環が起こる
◉ 特発性肺線維症(IPF)や慢性肺疾患
一部ではサーファクタントタンパク質の異常と関連し、
→ 慢性的な炎症・免疫異常と結びついている可能性あり
先天性のサーファクタントタンパク異常と免疫
例:SP-A や ABCA3 遺伝子異常の子どもは、再発性肺感染症や進行性の肺障害を起こしやすい
肺についてはあまり注目していませんでしたが、もうすこし探究してみよっと。