新薬 カムザイオス

新薬 カムザイオス

 

2025年5月発売のぴかぴかの新薬です。 

 

肥大型心筋症治療剤で、選択的真菌ミオシン阻害剤。 この薬は世界初だそうです。

 

「マバカムテン(Mavacamten)」は、**肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic Cardiomyopathy)**の治療薬として新しい作用機序をもつ注目の薬です。以下に、症状と薬の作用を丁寧に解説します。


🔴 肥大型心筋症(HCM)とは?

✅ 定義

肥大型心筋症は、心筋(特に左心室の壁)が異常に厚くなる心筋疾患で、特に**遺伝性(サルコメアタンパクの異常)**によって発症することが多いです。

✅ 主なタイプ

  • 閉塞性(HOCM):左室流出路(LVOT)が収縮期に狭くなり、血流障害が起きる

  • 非閉塞性:肥大はあるが流出路は閉塞されない


⚠️ HCMの主な症状

症状 原因
胸痛(狭心症様) 心筋肥大により酸素需要↑、供給↓
労作時の息切れ 拡張不全や流出路閉塞による心拍出量低下
失神・めまい 一過性の脳血流低下、心室性不整脈
心不全症状 拡張障害・収縮異常・僧帽弁逆流
突然死 心室細動など重度の不整脈

💊 マバカムテン(Mavacamten)の作用機序

✅ 基本情報

  • 商品名:カムジオス(Camzyos)

  • 分類:選択的心筋ミオシンATPアーゼ阻害薬

  • 投与経路:経口

  • 対象:特に閉塞性HCM


✅ 作用機序のポイント

● 心筋ミオシンATPアーゼ阻害とは?

  • 心筋収縮は、**ミオシンとアクチンの相互作用(滑走)**で起こります。

  • 肥大型心筋症では、**ミオシンの「過活動」**により過剰収縮が起きており、これが壁肥厚や流出路閉塞を悪化させる。

● マバカムテンの効果

作用 内容
心筋収縮の正常化 ミオシンのATPアーゼ活性を抑え、過剰な収縮を防ぐ
左室流出路圧較差(LVOT gradient)の低下 過収縮を抑えることで流出路を広げる
拡張能の改善 心筋の緊張がゆるみ、拡張期に血液を受け入れやすくなる
症状の改善 息切れ・胸痛・失神などが緩和される

 

📊 日本における肥大型心筋症(HCM)患者の推計

✅ 肥大型心筋症(HCM)全体の有病率

  • 一般に、HCMの有病率は約500人に1人(0.2%) とされています。

  • 日本の人口(2025年時点:約1億2,400万人)にあてはめると:

約24万人(12,400万人 × 0.002)


✅ 閉塞型(HOCM)の割合

  • HCM患者のうち、**約2/3が閉塞性(HOCM)**とされる。

約16万人(24万人 × 2/3)


✅ 実際に治療対象となる患者数は?

マバカムテンは、HOCM患者の中でも以下に該当する人に使われます:

  • 自覚症状がある(NYHAクラスII~IIIなど)

  • 薬物治療(β遮断薬、Ca拮抗薬など)で効果不十分

  • 外科手術(中隔切除)やアルコール中隔焼灼術の対象ではない、または希望しない

これらを考慮すると、実際の投与対象は約1万人~2万人程度と見込まれます(=HOCM全体の5~10%程度)。

製薬企業や医療経済の試算でも、日本でのピーク時患者数は約1万人前後と予測されるケースが多いです。


✅ まとめ:マバカムテン適応患者数(日本)

項目 数値(推計)
日本のHCM患者数 約24万人
うち閉塞性HCM(HOCM) 約16万人
マバカムテンの適応対象 約1万人前後(症候性+既存治療抵抗性)