文献情報 ネムノキの睡眠作用機序
文献情報 ネムノキの睡眠作用機序
中医学混合ハーブ煎じ薬は、神経伝達物質の発現レベルを調節することにより、パラクロロフェニルアラニン誘発性不眠症を改善します。
Annals of translational medicine. 2021 Oct;9(20);1524. doi: 10.21037/atm-21-4462.
背景 : 中国では古くから漢方薬として、ヒトと同じような概日リズムを持つ夜行性生薬が不眠症の治療に用いられてきた。しかし、これらの生薬の薬力学的特性やメカニズムについては、これまで深く検討されてこなかった。
方法: 本研究では、ネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)、ヤコウトウ(Polygonum multiflorum Thunb.)、ビャクゴウ(Lilium brownie F. E. Brown var. viridulum Baker)、白虎(Lilium brownie F. E. Brown var.V.)、連子(Nelumbo nucifera Gaertn)の中医学複合煎剤[nyctinastic herb decoction(NHD)]を作成し、pentobarbital-induced sleep test(PIST)によってパラクロロフェニルアラニン(PCPA)誘発不眠症ネズミに対する鎮静・催眠作用が検討されました、 行動試験(運動活性試験(LMA)、強制水泳試験(FST)、尾部懸垂試験(TST)等)および脳波を測定した。また、神経伝達物質の発現を測定し、NHDの発症機序を検討した。
結果.NHDは、移動距離の短縮、睡眠時間の延長、睡眠の質の向上、抑うつ状態の改善など、良好な鎮静作用を有することがわかった。NHDは、視床下部の5-hydroxytryptamine(5-HT)および5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)レベルを増加させ、ドーパミン(DA)、ノルエピネフリン(NE)、アセチルコリン(ACh)レベルを低下させることによりPCPAの不眠症を軽減した。
結論: 本研究の結果、NHDの鎮静・催眠作用が確認され、その神経伝達物質によるメカニズムの可能性が明らかとなった。
この処方の中で、日本ではまったくなじみがないのはヤコウトウ、蓮の実かな。 ユリの根は食品でも使いますから。
ヤコウトウとは夜交藤といい、中医学では睡眠薬で使用されています。 ヤコウトウの根っこは何首烏(かしゅう)といい、発毛、白髪の特効薬であり、不老長寿の生薬として有名です。
また和名をつるどくだみといい、日本ではそこら中に生えています。