文献情報 ペオニフロリンは、TLR4/NF-κBシグナル伝達を阻害し、AKT/mTORシグナル伝達を活性化することにより、癌性悪液質における筋萎縮…
文献情報 ペオニフロリンは、TLR4/NF-κBシグナル伝達を阻害し、AKT/mTORシグナル伝達を活性化することにより、癌性悪液質における筋萎縮を軽減しました。
Toxicology and applied pharmacology. 2024 Feb 06;484;116846. doi: 10.1016/j.taap.2024.116846.
がん悪液質は進行性の消耗性症候群であり、主に全身性の炎症反応、体重減少、筋萎縮、脂肪減少を特徴とする。ペオニフロリンは、シャクヤクの乾燥根から抽出される天然化合物で、抗炎症、抗酸化、免疫調節の薬理学的活性が特徴である。一方、ペオニフロリンのがん悪液質に対する効果はこれまで報告されていなかった。本研究では、C2C12筋管萎縮細胞モデルおよびC26腫瘍担癌悪液質マウスモデルを用いて、in vitroおよびin vivoの両方において、癌悪液質における筋萎縮に対するペオニフロリンの効果を観察した。in vitro試験において、ペオニフロリンは、C26結腸癌細胞またはLLCルイス肺癌細胞の条件培地により誘導された筋管萎縮を、Atrogin-1の発現を減少させることにより緩和し、MHCおよびMyoDの減少を抑制した。In vivo試験では、PaeはC26腫瘍を有するマウスの体重減少を改善し、筋線維の断面積の減少と筋機能の障害を改善した。TLR4/NF-κB経路の阻害およびAKT/mTOR経路の活性化は、ペオニフロリンを投与したC2C12筋管およびC26腫瘍マウスの両方で観察され、これが筋萎縮に対するペオニフロリンの改善作用の主な根拠であると考えられた。加えて、ペオニフロリンはC26腫瘍細胞からのIL-6の放出を阻害することができ、これも筋萎縮に対するペオニフロリンの改善効果に寄与している可能性がある。全体として、ペオニフロリンはがん性悪液質の治療薬として有望な候補であると考えられる。