エンパグリフロジン(ジャディアンス)と腎結石リスクの減少:SGLT2阻害の新たな役割の可能性?

エンパグリフロジン(ジャディアンス)と腎結石リスクの減少:SGLT2阻害の新たな役割の可能性?

The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 2022 Jun 16;107(7);e3003-e3007. doi: 10.1210/clinem/dgac154.

 

 糖尿病は腎結石の危険因子である。 最近の観察研究で,2型糖尿病(T2D)患者において,SGLT2阻害薬の使用はGLP-1受容体作動薬と比較して腎石症のリスクが49%低いことが明らかにされた。

目的 :無作為化臨床試験の既存データを用いて、腎結石症とSGLT2阻害薬エンパグリフロジンとの関連を検討した。

方法 : 大規模な心血管アウトカム試験であるEMPA-REG OUTCOMEを含む20の第I~IV相試験から、エンパグリフロジン(n=10 177)またはプラセボ(n=4904)に無作為に割り付けられた15 081例のT2D患者のデータをプールした。 尿路結石イベントは、あらかじめ定義されたMedRA用語集を用いて捕捉された。 より狭い定義を用いた感度分析も行った。 発生率比(IRR)および95%CIは、試験ごとに層別化した相対リスク推定値を用いて算出した。

 

結果 : 試験薬の曝露期間中央値は543日(プラセボ)、549日(エンパグリフロジン)であり、183例が追跡期間中に尿石症を発症し(プラセボ:79例、エンパグリフロジン:104例)、2群における年間発症率は1.01対0.63イベント/100患者年であった。 IRRは0.64(95%CI、0.48-0.86)でエンパグリフロジンに有利であった。 感度分析でも結果は同様であった(IRR、0.62[95%CI、0.45-0.85])。

 

結論  エンパグリフロジン投与は,プラセボ投与と比較して,T2D患者における尿路結石イベントのリスクを約40%減少させた。 基礎となる機序は不明であるが、尿の結石形成プロファイルの変化が関与している可能性がある。 T2D患者およびT2Dでない患者を対象とした、これらの初期所見を確認するための専用のランダム化プロスペクティブ臨床試験が必要である。