マトリックスメタロプロテアーゼ
マトリックスメタロプロテアーゼ
この酵素はなんと尿素によって活性化して血液脳関門を破壊することが分かっています。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs:Matrix Metalloproteinases)は、細胞外マトリックス(ECM:extracellular matrix)を分解する酵素の一群です。
【MMPsの主な働き】
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細胞外マトリックスの分解
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コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカンなどの構造タンパク質を分解します。
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特に、組織のリモデリングや修復に不可欠です。
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細胞移動の促進
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細胞が周囲の組織を通過するために、ECMを分解し移動ルートを作ります。
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胎児の発生、免疫応答、創傷治癒の際などに重要です。
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生理活性物質の放出や活性化
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ECM中に結合している成長因子やサイトカインを遊離・活性化します。
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これにより細胞の増殖・分化・死などが制御されます。
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マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)は、血液脳関門(BBB:Blood-Brain Barrier)を破壊する能力があります。
これは病態の進行や中枢神経疾患(例:脳梗塞、脳炎、アルツハイマー病、外傷性脳損傷など)において重要なメカニズムの一つと考えられています。
【MMPによる血液脳関門破壊のメカニズム】
1. 基底膜やタイトジャンクションの分解
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MMP-2(ゼラチナーゼA)やMMP-9(ゼラチナーゼB)は、ラミニン、IV型コラーゲン、フィブロネクチンなど、基底膜の主要構成成分を分解します。
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また、**内皮細胞間のタイトジャンクション(tight junction)タンパク質(occludin、claudin-5、ZO-1など)**をも分解または間接的に損傷します。
2. 炎症性サイトカインによるMMP誘導
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脳内で炎症(例:IL-1β、TNF-αなど)が起きると、ミクログリアやアストロサイトからMMPsの発現が誘導されます。
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これによりMMP-9などが過剰に分泌され、BBBの破綻を助長します。
3. 血管透過性の亢進と浮腫形成
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BBBが壊れると、血管内から血漿成分、免疫細胞、水分が脳実質へ漏れ出し、脳浮腫を引き起こす。
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これが神経細胞の圧迫や機能障害につながります。
血中尿素窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen)や尿素の蓄積が、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の活性化に関与する可能性は報告されています。特に、慢性腎臓病(CKD)や透析患者に関連する尿毒症のような状態では、全身性炎症や代謝異常がMMPの発現や活性に影響を与えると考えられています。
【尿素・BUNとMMPの関係】
1. 尿素の分解産物が炎症を促進
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血中に尿素が高濃度で存在すると、尿素はカルバミル化反応(carbamylation)によってタンパク質を修飾し、機能を変化させます。
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これにより、**炎症性サイトカイン(例:TNF-α、IL-6)**が誘導され、それがMMP(特にMMP-2, MMP-9)を刺激します。
2. 全身性の慢性炎症がMMP活性を上昇
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透析患者やCKD患者では、**軽度の持続的な炎症状態(inflammaging)**があり、これがMMPの発現を増加させる因子となっています。
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実際、CKDモデル動物やヒト患者でMMP-9の血中濃度上昇が報告されています。
3. 血液脳関門への影響
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慢性腎不全では、**尿毒症毒素(uremic toxins)**がBBBを障害するという報告もあり、MMPがこの機構に関与しているとする説もあります。
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MMPによってタイトジャンクションの分解が進むと、脳内環境がさらに悪化し、**尿毒症性脳症(uremic encephalopathy)**のリスクが増します。
【透析患者におけるリスク】
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透析開始直後や間欠的な透析時には、急激な浸透圧変化や血液組成の変化により、炎症や酸化ストレスが一時的に上昇します。
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この過程でもMMPが活性化されることがあり、認知機能低下や脳の脆弱性との関係が疑われています。
マトリックスメタロプロテアーゼが活性化してしまうのは、炎症、特に脳の炎症、また尿素窒素の上昇から起こります。
ストレスを長期間ためたり、腎機能低下があると血液脳関門を破壊することになります。