典座教訓(てんぞきょうくん)

典座教訓(てんぞきょうくん)

 

 1200年代に著された修行で食事を担当する役職「典座」の心がまえを示した書のことです。道元禅師は日本では注目されず軽く見られていた「典座」を高く評価し、大切に扱うべきだと主張しました。

 

修行の食事とはいかなるものであるかを再考して、「典座」の大切さや逸話を用いて、喜びの心・相手を思いやる心・動じない心の三心を、料理を作る者の心としました。料理は素材を生かすことが大切であると説いていました。

食材に感謝して命をいただいているという考えを重んじ、食材を無駄にすることもなくすべて調理するということをしていたそうです。

 

料理についても修行としている考え方を説いたものです。考えてみれば、どんな仕事でも修行ですよね。

 

修行しているから食事の用意なんてできるか、もしくはしなくてもいいという考えは間違っているということでしょう。 

 

現代に当てはめてみれば、食事の準備は女性の仕事で、外で仕事をして稼いでいるお父さんはえらく、家事はしないでもいいという発想に近いです。昭和の時代ははびこっていましたが、最近の若者は家事も育児も折半でやるようになってきているし、フェムテックという概念も定着しつつあり、男だから、女だからという決めつけも薄れてきているように感じます。

 

この世に生を受けていること自体修行なんでしょう。 山にこもって修行に集中するより、世俗にどっぷりつかって生活している方が修行としてはリアルに感じます。

 

 

 

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