ファーマシープラクティショナー
ファーマシープラクティショナー
「米国薬剤師の薬物療法マネージングによる取り組み」という文献を見つけたので紹介いたします。
引用元:医療薬学 37(3)133-143(2011)
10年以上まえの文献ですがアメリカの薬剤師と日本の薬剤師と比較している点が実にリアルで興味深いです。
アメリカの医療が日本の医療と異なるのは、アメリカは医療ビジネスと明確にしていることです。
貧乏人は病院にくるなという姿勢ですので、日ごろ病気にならないようにセルフケア精神が浸透しています。
しかし日本は医療は社会保障であるので、建前は医療ビジネスではありません。 お金持ちも貧乏人も平等に医療が受けれる制度となっています。
まず大前提が異なるということを前提に話します。
アメリカでは薬剤師は臨床活動が普通に行われます。医療費の削減や患者の利益をあげることできたことを証明したので、権限が大幅に持てています。
それは契約を伴っています。その合意書はコラボレートドラッグセラピーマネージメント(CDTM)と呼ばれています。
1997年から導入されたもので州ごとに導入されています。 それによって米国の薬剤師は医薬品の処方、処方変更、修正、治療中止等の薬物療法の管理者として幅広い権限を持っています。
日本でこのような制度が導入しにくいのはひとえに社会保障としての医療であり、実態は医療ビジネスであることです。
日本では処方権は100%医者にあり、薬局で薬剤師が行うことは処方監査という名の処方チェックにすぎず、患者さんに合う薬なのかどうなのか、症状からたくさんの種類のある薬から選ぶこともできません。
もし医者へ意見すれば処方権の侵害だと激怒するでしょう。
しかし医学部では病氣への診断は学びますが、薬は学んでいません。薬の学校は薬学部だからです。
処方が間違っていて処方箋通りに薬を投薬して、医療事故が起これば、処方を間違えた医者ではなく、処方監査で疑義照会して処方箋のミスを見抜けなかった薬剤師の責任になるわけです。
医療現場で処方箋をみていると、高血圧、糖尿病、高脂血症の生活習慣病といわれている疾病の薬は生活指導もなく漫然と処方されています。
さらにひどいことに降圧剤を出しすぎて低血圧症におちいり、朝起きれない、日中眠くてしょうがないという明らかに降圧剤は不要への患者さんにも処方されている始末です。 この低血圧症では、必要な血圧まで下げてしまうので、脳が虚血状態になります。それで眠気が出ます。 この状態が長期間続くと、虚血性の認知症を発症する恐れがあります。 まさに病院が病気を治療しているのではなく、病気を製造していることになります。
アメリカの薬剤師なら、このような場合降圧剤の変更、中止ができます。 日本でこのような提案をすれば、医者は激怒することでしょう。
まだまだ医療分業といっても、医者に権限が集中しすぎており問題を抱えているとしか言えないです。
ファーマシープラクティショナーなんて実現するのはほど遠い道のりですが、薬剤師の地位向上にすこしでも貢献できればと思います。