FT合成法とはなにか

FT合成法とはなにか

 

初めて聞いた単語なのでちょっと調べてみました。 合成燃料のことのようですねえ。

今の文明で、自動車、温度管理、飛行機などの設備や道具をそのまま使うとなると画期的な合成方法です。

 

フィッシャー・トロプシュ法(Fischer-Tropsch process, F-T法)**は、一酸化炭素(CO)と水素(H₂)から炭化水素を合成する化学プロセスです。この技術は主に、石炭、天然ガス、バイオマスなどから合成燃料(液体燃料)を生成するために使われます。フィッシャー・トロプシュ法が地球に与える影響は、主に次のような環境的、経済的、社会的要因に関連しています。

 

〇温室効果ガス排出への影響

フィッシャー・トロプシュ法は、合成燃料の生産プロセスであるため、その環境への影響は、どのような原料が使用されるかに大きく依存します。

■化石燃料ベースの原料: 石炭や天然ガスを原料にする場合、CO₂排出量が増加します。これにより、温室効果ガスの排出が増加し、気候変動への影響が懸念されます。特に、石炭を原料にする場合には、多量のCO₂を排出するため、環境負荷が高くなります。

■炭素捕捉技術(CCS)との併用: F-T法は、炭素捕捉・貯留技術(CCS: Carbon Capture and Storage)と併用されることがあります。これにより、CO₂排出を大幅に削減し、クリーンな合成燃料の生成が可能となります。しかし、CCS技術のコストやインフラの整備が課題となります。

■バイオマスベースの原料: バイオマスを原料にすることで、カーボンニュートラルな燃料が得られる可能性があります。バイオマスは成長過程でCO₂を吸収するため、燃料として燃焼された際のCO₂排出は相殺されると考えられています。

 

〇エネルギー安全保障への影響

フィッシャー・トロプシュ法は、エネルギー資源に乏しい国々が合成燃料を製造する手段として、エネルギー安全保障に寄与する可能性があります。

■代替燃料の供給源: F-T法は、石油の代替燃料を提供する技術であり、特に石油依存度が高い国にとって、エネルギー供給の多様化が期待されます。また、バイオマスや廃棄物を利用して燃料を生産することで、持続可能なエネルギー供給を実現できます。

■エネルギー自給自足: 石炭や天然ガスの豊富な国では、これらの資源を利用して燃料を国内生産できるため、輸入石油への依存度を減らすことができます。

 

〇大気汚染への影響

フィッシャー・トロプシュ法を用いて生成される合成燃料は、従来の石油由来の燃料と比較して、燃焼時に排出される有害物質が少ない特徴があります。

■クリーンな燃焼: F-T法で生成されるディーゼルやジェット燃料は硫黄や芳香族炭化水素が少ないため、燃焼時に排出されるSOx(硫黄酸化物)やPM(粒子状物質)が少なくなり、大気汚染の抑制につながります。

■都市部の大気改善: 自動車や飛行機の燃料として使用される場合、従来の燃料に比べて排出ガスがクリーンになるため、都市部の大気質改善に寄与する可能性があります。

 

〇資源消費とエネルギー効率

F-T法はエネルギー集約的なプロセスであり、特に高温・高圧環境での反応が必要なため、大量のエネルギーを消費します。これにより、原料やエネルギーの効率性が問題となります。

■エネルギー効率の課題: F-T法自体は効率が低く、特に石炭を原料にする場合、エネルギー損失が大きくなります。プロセスの効率性向上が求められていますが、現状ではエネルギーコストが高い場合が多いです。

■持続可能なエネルギー供給との連携: F-T法が再生可能エネルギーやバイオマスと連携することで、エネルギー効率や持続可能性を高める可能性があります。

 

〇土地利用と生態系への影響

バイオマスをフィッシャー・トロプシュ法の原料として利用する場合、バイオマスの生産に伴う土地利用の問題や生態系への影響が考慮されるべきです。

■土地利用の競合: 食料生産とバイオ燃料用の作物生産が競合する可能性があり、これが食料価格の上昇や生態系の破壊につながるリスクがあります。バイオ燃料用作物の大規模な栽培は、森林伐採や土壌劣化を引き起こす恐れがあります。

■廃棄物利用の可能性: バイオマスとして廃棄物や残渣を利用することで、土地利用の競合を避けることができ、持続可能な燃料生産が可能となります。

 

まとめ

フィッシャー・トロプシュ法は、合成燃料の生産技術として多くの可能性を秘めていますが、その地球への影響は、使用する原料やエネルギー源、技術の運用方法に大きく左右されます。化石燃料ベースでの使用はCO₂排出の増加をもたらしますが、バイオマスやCCSとの組み合わせにより、より持続可能で環境負荷の少ないエネルギー供給が実現可能です。また、都市部の大気質改善やエネルギー安全保障の強化にも貢献する一方で、エネルギー効率や資源利用の問題は依然として課題です。

 

 

このような技術ができると、現在のガソリンスタンドを合成工場にしたら原油の輸入をしなくてもいいし、ガソリンも合成燃料になって、50円くらいで流通できれば相当楽になりますねえ。

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