便秘とうつ病の相関性
便秘とうつ病の相関性
便秘とうつ病には密接な関連性があることが、近年の研究で明らかになっています。
1. 腸脳相関(Gut-Brain Axis)
腸と脳は**腸脳相関(Gut-Brain Axis)**と呼ばれる双方向のネットワークで繋がっており、神経系、内分泌系、免疫系、腸内細菌を介して相互作用しています。このネットワークの不調が便秘とうつ病の両方に関与する可能性があります。
- セロトニンの役割: 腸内のセロトニン(幸せホルモン)の約90%は消化管で生成され、腸の運動や感覚を調節しています。セロトニンの不均衡は、便秘だけでなくうつ症状を引き起こす可能性があります。
2. 腸内細菌叢の異常
腸内細菌(マイクロバイオーム)のバランスが崩れることは、便秘とうつ病の両方に影響を与える可能性があります。
- 便秘の人では、腸内の多様性が低下し、炎症を引き起こす細菌が増えることがあります。
- 腸内細菌叢の異常は、炎症性サイトカインの増加や、脳内の神経伝達物質の生成に影響を与え、うつ病のリスクを高める可能性があります。
3. 炎症と免疫系の関与
便秘に関連する慢性的な腸内炎症は、全身的な低レベルの炎症を引き起こし、それがうつ病に関与している可能性があります。
- 炎症性サイトカイン(例: インターロイキン-6やTNF-α)は、脳機能に影響を与え、うつ病の症状を悪化させることが知られています。
4. ストレスと自律神経の関与
ストレスは便秘とうつ病の共通の原因となり得ます。
- 慢性的なストレスは交感神経の過活動を引き起こし、腸の運動(蠕動運動)を抑制して便秘を悪化させる可能性があります。
- 同時に、ストレスはうつ病の発症にも深く関与しています。
5. 生活習慣の影響
便秘とうつ病の両方は、生活習慣の乱れに影響を受けます。
- 食事: 食物繊維の不足や不健康な食事は便秘を引き起こし、それが気分に影響する可能性があります。
- 運動不足: 運動不足は腸の動きとうつ症状の両方を悪化させる要因です。
6. 便秘がうつ病の症状を悪化させる可能性
便秘が持続すると、体内の毒素が腸内で再吸収される「腸内毒素症」のリスクが高まり、全身の健康や気分に悪影響を及ぼします。また、便秘の不快感やストレスが、うつ病の症状を悪化させる可能性もあります。
研究の知見
- ある研究では、慢性便秘患者の40%近くが不安やうつ症状を報告しており、心理的な健康と腸の状態には強い関連があるとされています。
- プロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(腸内細菌を育てる栄養素)を摂取することで、便秘が改善すると同時にうつ症状も軽減するケースが報告されています。
便秘だからうつ病とはいえず、うつ病の人を調べたら40%が便秘だったということですから、100%相関性があるわけではないです。
しかしセロトニンがかかわっていることは間違いないと思います。