尿素窒素とは
尿素窒素とは
あまり知られていませんが、健康診断で血液検査をおこなうと大抵検査されている項目です。
8mg~20mg/dL が基準値となります。
尿素窒素とは何なのか? これは腎機能が低下しているかどうかの判断材料の1つです。
他にも低下する原因はありますが、和多志は腎機能だけに限り話します。
尿素窒素はEGFR60以下で排出できずに蓄積していき、30以下では顕著に蓄積していきます。
尿素窒素の怖いところは、間接的に血流脳関門を破壊し、脳内に侵入して神経変異症をおこすことです。
尿素窒素が神経変性を引き起こすメカニズム
① グルタミン酸神経伝達の異常(興奮毒性)
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尿毒症では、脳内のグルタミン酸(興奮性神経伝達物質)が過剰に蓄積し、神経細胞が過剰に興奮する。
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これにより、カルシウムイオン(Ca²⁺)が過剰に流入し、神経細胞の損傷・死滅を引き起こす(興奮毒性)。
② 尿毒症性毒素(グアニジン類)による神経障害
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尿素窒素が増えると、グアニジン化合物(メチルグアニジン、ポリアミンなど)が蓄積する。
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これらは神経細胞のイオンチャネル(Na⁺, K⁺, Ca²⁺)の異常を引き起こし、脳の興奮と抑制のバランスを崩す。
③ アンモニア蓄積による神経毒性
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腎不全ではアンモニア(NH₃)の排泄が低下し、血中濃度が上昇する。
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アンモニアが脳内に侵入すると、アストロサイト(神経細胞を支える細胞)の腫脹を引き起こし、脳浮腫が発生。
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これにより、意識障害(尿毒症性昏睡)や神経細胞の変性が進行する。
④ 酸化ストレスの増加
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尿毒素がミトコンドリア機能を障害し、活性酸素(ROS)が増加する。
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これにより、神経細胞の酸化ストレスが増大し、細胞死(アポトーシス)が進行。
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アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患のリスクが高まる。
尿素窒素をコントロールできれば認知症やパーキンソン病のリスクは下げられる可能性大ですね。
残念ながら現在尿素窒素をさげる薬は存在していません。