足るを知る
足るを知る
「足るを知る(たるをしる)」は、古代中国の思想家・老子の『道徳経』に由来する言葉で、日本でも広く禅や儒教的な価値観として受け入れられてきました。意味としては、
【足るを知るとは】
「足る(=満ち足りること)」を「知る(=理解する)」、つまり 「今、自分が持っているもので十分であると理解し、満足できる心の状態」 を指します。
この考えは、物質的・精神的な欲求に対して、「無限に求めるのではなく、今の状況に感謝し、そこに価値を見出す」という姿勢を重視します。
【老子『道徳経』の原文】
「知足者富」
(足るを知る者は富む)
これは、「足るを知る者は、たとえ物が少なくとも、心が満ちている。真に豊かである」と解釈されます。
もしこの足るを知ると知らなければ、どうなるのかというと、、、、
足るを知らない、すなわち「もっと、もっと」と求め続ける状態にある人は、以下のような負の連鎖に陥ることがあります:
① 心が常に不満に支配される
何かを手に入れても、すぐに物足りなくなり、新しい刺激や所有を求め続けます。
「幸せの条件」が未来にばかり存在し、「今ここ」に幸福を見出せなくなる。
② 過度の競争心とストレス
他人と比較して劣等感を抱き、自分を肯定できなくなる。
成功しても満たされないため、精神的な消耗が続く。
③ 破滅的な行動に走ることも
権力欲、金銭欲、物欲、承認欲求などが肥大化し、道徳的な判断を失う。
依存(アルコール、ギャンブル、薬物)や犯罪行為に走る人も少なくない。
④ 人間関係の崩壊
欲望を満たすことが最優先となり、他者への配慮が希薄に。
利害でしか人と関われなくなり、孤独に陥る可能性がある。
【現代的な意味合い】
現代社会は「常に足りない」と感じさせる構造(SNS、広告、経済成長至上主義)で動いています。その中で「足るを知る」という言葉は、心のバランスを保ち、幸福に生きるための知恵として、ますます重要視されています。
まさに現代社会の問題が凝縮されているように思えます。
【足るを知る人の特徴】
日常の小さなことに感謝できる
他人と比較しない
無理な目標に振り回されず、着実に歩む
自分の内側にある豊かさに目を向けている
足るを知るというのことはとても大切な思考だなあと思います。