足るを知る

足るを知る

 

「足るを知る(たるをしる)」は、古代中国の思想家・老子の『道徳経』に由来する言葉で、日本でも広く禅や儒教的な価値観として受け入れられてきました。意味としては、


【足るを知るとは】

「足る(=満ち足りること)」を「知る(=理解する)」、つまり 「今、自分が持っているもので十分であると理解し、満足できる心の状態」 を指します。

この考えは、物質的・精神的な欲求に対して、「無限に求めるのではなく、今の状況に感謝し、そこに価値を見出す」という姿勢を重視します。


【老子『道徳経』の原文】

「知足者富」

(足るを知る者は富む)

これは、「足るを知る者は、たとえ物が少なくとも、心が満ちている。真に豊かである」と解釈されます。

 

 

もしこの足るを知ると知らなければ、どうなるのかというと、、、、

 

足るを知らない、すなわち「もっと、もっと」と求め続ける状態にある人は、以下のような負の連鎖に陥ることがあります:


心が常に不満に支配される

何かを手に入れても、すぐに物足りなくなり、新しい刺激や所有を求め続けます。

「幸せの条件」が未来にばかり存在し、「今ここ」に幸福を見出せなくなる。

過度の競争心とストレス

他人と比較して劣等感を抱き、自分を肯定できなくなる。

成功しても満たされないため、精神的な消耗が続く。

破滅的な行動に走ることも

権力欲、金銭欲、物欲、承認欲求などが肥大化し、道徳的な判断を失う。

依存(アルコール、ギャンブル、薬物)や犯罪行為に走る人も少なくない。

人間関係の崩壊

欲望を満たすことが最優先となり、他者への配慮が希薄に。

利害でしか人と関われなくなり、孤独に陥る可能性がある。


【現代的な意味合い】

現代社会は「常に足りない」と感じさせる構造(SNS、広告、経済成長至上主義)で動いています。その中で「足るを知る」という言葉は、心のバランスを保ち、幸福に生きるための知恵として、ますます重要視されています。


まさに現代社会の問題が凝縮されているように思えます。

 

 

 

【足るを知る人の特徴】

日常の小さなことに感謝できる

他人と比較しない

無理な目標に振り回されず、着実に歩む

自分の内側にある豊かさに目を向けている

 

足るを知るというのことはとても大切な思考だなあと思います。